薬剤師の「円満退職」8つのポイント!

「円満退職」は社会人のマナー

「立つ鳥跡を濁さず」とは、立ち去る者は跡が見苦しくないようにすべきである、ということわざです。「退職」に関しても同じことです。

 

会社を退職する時は、業務をきちんと整理して残された同僚や関係者が気持ちよく仕事をできるように配慮が必要になります。狭い薬剤師業界ですから悪い噂はすぐに広まります。「円満退職」は社会人のマナーでもあり、新しい職場で気持ちよく仕事をするために必要なことです。

 

民法では退職日の2週間前までに退職の意向を伝えれば良いことになっていますが、業務の引き継ぎなどを考えると1.5〜2ヶ月前に伝えるのが一般的です。なお、会社の就業規則や契約内容で退職申請の期日を定めている場合がありますので必ず確認しましょう。

 

薬剤師に限らず、職場を辞めるには事前の意思表示が必要です。退職を決意してから円満に辞めるまでの具体的なスケジュールを見ていきましょう。

 

 

 

 

 

 

退職までのスケジュール

(1)退職の時期を決める

最初にすべきなのは、現在の勤務先を退職する時期を決めることです。特別な事情があって辞めるのでなければ、まずはおおまかに「年度末までに退職する」や「冬のボーナスをもらってから退職」などと決めておきましょう。

 

(2)退職後の予定を決める

退職後は仕事をしないのか、新たな職場に転職するのか、しばらく休んでから求人先を見つけるのか等々、今後の予定を決めておきます。もし転職するのであれば、次の職場を見つけてから退職するのか、いったん退職してから求人先を探すのかも決めておいてください。

 

(3)退職の意思を伝える

退職の時期と今後の予定が決まったら、現在の勤務先に退職の意思を伝えます。まず上司に口頭で退職したいという意思と時期を伝えて相談しましょう。その後、職場によっては「退職願い」という書類を作成して人事課などに提出する場合もあります。

 

 

 

(4)退職日の決定と引き継ぎ

上司(または人事課)などから「退職を了承する」という旨の通達(返事)がきたら、退職と退職日が決定します。その退職日に向けて、現在担当している業務を後任者に引き継ぎます。口頭で教えるだけでなく、業務内容ややり方、伝えておくべきことなどを文書などにして渡すと親切です。

 

(5)退職の準備(返却・提出)

現在の職場を退職する場合、これまで使用していたデスクの整理や備品の返却などが必要です。デスク内の私物は持ち帰り、職場から貸与されていた制服(白衣・作業衣)や事務用品といった備品は返却しましょう。勤務先から支給された健康保険証や社員証(IDカード)、通勤定期券、関係書類なども人事課に提出します。

 

(6)退職の準備(受け取り)

退職時には勤務先に預けているものを受け取ります。薬剤師免許証や保険薬剤師登録票などを提出している場合は忘れずに受け取っておいてください。今後の転職に必要な離職票(雇用保険被保険者離職票)、雇用保険被保険者証、源泉徴収票、年金手帳なども必ず受け取るようにしましょう。交通費や立替金などが残っていれば精算します。

 

(7)退職のあいさつとお礼

勤務先を退職する日には上司や同僚、関連部署のスタッフなどに退職のあいさつをします。在職中にお世話になったお礼をし、簡単な手土産(お菓子)などを渡してもいいでしょう。忘れ物がないかデスクやロッカーを確認し、親しかった人には連絡先を伝えておくと後々役に立ちます。

 

 

 

 

薬剤師の円満退職のポイント!

(1)退職する時の心構え

退職する時の心構えは持っていますか?上司に退職を宣言する前に、もう一度以下の5点について考えてみてください。

 

  1. 本当に転職したいと思っているのか?
  2. 何の為に転職したいのか?
  3. 転職をすれば本当に幸せになるのか?
  4. 経験値や実力はあるのか?
  5. 家族(家庭がある場合)は理解してくれるのか?

 

この5点に付いてじっくり考えてください。退職の意思表示をしてから後悔しても遅すぎです。転職するということは、その職場に戻ってこれないということです。微妙な気持ちでの転職は、失敗の原因になります。

 

 

 

(2)退職理由は上司が納得する内容にする

退職を切りだす際、「上司が納得するような退職理由」を伝えましょう。「給与が低い」「忙しい」「休みが少ない」など、会社への不満を理由にすると、「じゃあ給与を上げるから」「もっと休みを増やすから」と引き留めに合う場合が大半。

 

退職理由は「自分のやりたいことが他社にある」「ワークライフバランスを見直したい」など前向きな内容にすると良いでしょう。企業にとって新しい社員を雇用し、育てるということは莫大な時間とお金がかかっています。安易な理由は、現職場や新しい職場にも迷惑をかけるケースが多いですので、注意が必要です。

 

 

(3)退職の意思を伝える

退職を決めたら、まずは直属の上司に相談します。その際、転職理由が曖昧だと引き留めに合って「転職できなかった」という結果になりかねません。「なんのために転職するのか?」という転職の目的(=理由)を明確にしたうえで、きちんと上司に伝えましょう。

 

とはいえ、薬剤師は常に人手不足の状態ですから、「勤め先から強引な引き留めに合って退職できない!」という話も珍しくありません。退職時によくあるトラブルをチェックしてみましょう。過剰な引き止めにあってしまったら退職に関するトラブルでかなり多く聞かれるのが退職日がはっきり決まらないという事例です。

 

人員が足りていない忙しい職場においては、業務がどうしても回らなくなってしまうことを理由に「お願いだから○月まではいて欲しい」といったような強い引き止めにあってしまうこともよくあります。長年勤務をしてきた職場になると、人情的に見捨てるということができずついつい1ヶ月、2ヶ月と勤め続けてしまうところですが、それではいつまでも退職ができず転職先に大きな迷惑をかけてしまうことになります。

 

引き止めにあった場合にはその事情に応じて多少の期間延長をするのはよいのですが、それでも必ず自分がいつまでには絶対に辞めたいという意志をはっきり示さないといけません。退職の日を職場任せにしていたら、まず向こうから提案をしてくるということはありません。

 

転職も退職も、人任せにすることなく全て自分が主導をして決めるのだという強い意志を持ってのぞまなければいけないということはしっかりと頭に入れておくようにしましょう。毅然とした態度をとらずに優柔不断な態度をとっていることは、結果的に現職にも転職先にも悪い影響しか与えません。

 

 

 

(4)退職届/退職願を提出する

上司に退社の意思を伝えて了解を得たら、退職日を相談して決定し、「退職願」もしくは「退職届」を提出するのが一般的です。

 

「退職願」は、会社に対して「退職したいと思います」というお願いの文書で、「退職届」は、「退職します」という申告の文書です。どちらも会社に辞意を伝える文書という点では同じですが、「退職届」はいったん受理されると、撤回できませんので注意しましょう。

 

 

 

(5)引き継ぎには十分な時間を確保して

退職することで同僚や関係者には少なからず迷惑をかけるものです。後任者がスムーズに業務にあたれるよう、業務の引き継ぎには十分に時間を取りましょう。

 

その際、引き継ぐ内容をリストアップして、各業務のフローやポイント、物品の保管場所を書面に残しておくと、あなたが退職した後に不明点が発生した際に後任者が確認できて便利です。

 

 

 

 

 

 

 

(6)保険や年金など書類の手続きをする

退職の際に手続きが必要になる保険は「雇用保険」「健康保険」「年金保険」です。手続きの内容は、退職時に「転職先が決まっている場合」と「転職先が決まっていない場合」で異なります。

 

書類の準備は、会社の総務担当が行ないますが、意外に時間がかかるもの。退職直前に急いで行なうと確認漏れの原因にもなりますので、退職が決まったら早めに総務に伝え、書類の準備をしてもらいましょう。

 

 

転職先が決まっている場合
  1. 雇用保険: 雇用保険被保険者証を受領。
  2. 厚生年金保険: 年金手帳を受領。
  3. 健康保険: 健康保険被保険者証を返還。
  4. 税金: 源泉徴収表を受領。退職金が支払われた場合は、退職所得の受給を申請。

 

転職先が決まっていない場合
  1. 雇用保険: 雇用保険被保険者を受領。雇用保険被保険者離職票を受領(退職日の翌日から10日程度)。
  2. 厚生年金保険: 年金手帳を受領。国民年金に加入。
  3. 健康保険: 健康保険被保険者証を返還。任意継続被保険者の申請、もしくは国民健康保険に加入。
  4. 税金: 源泉徴収表を受領。退職金が支払われた場合は、退職所得の受給を申請。所得税の確定申告。

 

 

(7)会社に返却する物と受け取る物

退職時に返却するもの

 

(1)社員証・IDカードなどの身分証明書、社員章、名刺、名札

退職する際は、その会社の社員であることを証明する社員証などは退職時にすべて返却する必要があります。仕事上で受け取った取引先の名刺の保管については、会社に確認してください。必要であればコピーを取り、返却を求められる場合には会社に返却しましょう。

 

(2)健康保険被保険者証

健康保険は退職した時点で脱退する仕組みになっています。退職日に無効となった保険証は会社に返却してください。退職時点で次の転職先が決まっていれば、新しい会社の健康保険に新たに加入することになります。まだ、そうでない場合や転職までブランクができる場合は、国民健康保険に加入するか、任意継続被保険者制度、もしくは、家族の健康保険の被扶養者となることを選択します。

 

(3)通勤定期券

原則、通勤で利用していた定期券は、退職日に会社へ返却しましょう。もし、先んじて返却した場合は返却日から退職日までの交通費精算します。

 

(4)白衣・制服・作業着

業務上で貸与されていた衣類などは、クリーニングを忘れずに依頼してから返却しましょう。細やかな気配りが円満退職につながります。

 

(5)その他社費で購入した書籍や事務用品

経費で購入したものは、すべて会社に属する資産です。持ち帰らぬよう、注意しましょう。なお調剤印も(個人の名前が入っているため、会社へ返却しても他者には使えないとはいえ)返却することが原則です。その他、書籍やささいな事務用品でも、会社に「持ち帰ってもよい」と了承されない限り、返却しましょう。

 

(6)業務用の関係書類など

自分で作成した資料やデータ等であっても、業務上で作成したものは原則会社の資産です。退職時もしくは退職後のトラブルを避けるためにも許可がなければ返却しましょう。

 

 

職場から忘れずに受け取るもの
(1)薬剤師免許証

 新たな職場で薬剤師登録するときに必要です。勤務先に預けている場合は忘れずに受け取ってください。

 

(2)年金手帳

 入職時に勤務先に提出している場合は、退職時に必ず返却してもらいましょう。

 

(3)雇用保険被保険者証

 職場の従業員として雇用されており、雇用保険に加入していることを証明する書類です。失業手当を受け取る際に必要になります。転職した場合も、引き続き同じ被保険者番号を使うので必ず受け取ってください。

 

(4)離職票(雇用保険被保険者離職票)

 雇用保険に加入している人が離職(退職)したことを証明する書類です。失業手当を受け取る際に必要になります。転職する場合は必要ありません。

 

(5)源泉徴収票

 所得総額と支払い税額が記載された書類です。転職先に提出したり、自分で確定申告を行なうために必要になります。

 

 

 

 

 

(8)自己都合と会社都合

会社を辞めた理由は自分の都合である自己都合よりも、会社の都合で辞めた会社都合のほうが、失業保険での総額が1.5〜2.2倍も増えます。退職理由による違いの見返りは大きく、もし会社都合にできるのであれば、給付額を含めて、失業保険に大きなアドバンテージが生まれます。

 

項目 自己都合 会社都合
給付日数 90〜150日 90〜330日
給付制限 あり なし
最短支給開始日 116日後 32日後
国民健康保険税 通常納付 最長2年間軽減
最大支給額 約118万円 約260万円

 

ただ、自己都合を無理に会社都合に変えることは、前の会社に迷惑がかかります。会社都合で辞めた人がいると、会社は助成金が貰えなくなったり、ブランド力が低下する恐れがあるからです。

 

そのため、自己都合で辞めた人は正直に自己都合で申請したいです。その一方で実は本当は会社都合に該当するにも関わらず、勤めていた会社が会社都合と認めなかったり、勝手に自分を「自己都合」と思い込んでいる人も散見されます。

 

自分から会社を辞めた自己都合を、会社の理由で辞めた会社都合に変えられる例はたくさんありますので、自己都合を会社都合に変えられるのであれば、会社都合で申請するようにしましょう。

 

会社都合に該当する正当な退職理由

具体的に「会社都合に値する正当な理由があった」として認められる基準は、以下の6通りです。

  1. 破産、民事再生、会社工背、手形取引の停止など、会社の破産によって退職した人は会社都合です。
  2. 事業所単位で1カ月に30人以上の退職の予定、もしくは会社の3分の1を超える人が退職するといった大量な雇用が起こった場合は、会社都合に該当します。
  3. 賃金、労働時間、勤務地、職種などの採用条件と、実際の労働条件に大きな違いがあった場合は会社都合になり得ます。
  4. 賃金が一定以上、例えば、残業手当を除いた給料がそれまでの85%未満に低下した場合は会社都合になり得ます。
  5. 体力不足、心の障害、病気、負傷、器官系の障害で退職した場合は、心身に危害が及んでいると見なされ、特定受給資格者になります。
  6. 父親や母親の死亡、もしくは病気で扶養するために、退職せざるを得ない場合は特定受給資格者になります。

 

 

※時間外労働の基準としては、離職の直前6か月間のうちに以下のどれかに該当する方となります。

  • 3ヶ月連続して45時間を超える時間外労働があった場合
  • 2ヶ月以上の期間で平均月80時間を超える時間外労働があった場合
  • 1ヶ月で100時間を超える時間外労働があった場合

 

 

まとめ

退職の理由は人それぞれですが、できれば上司や同僚とは良好な関係を築いて円満退職したいものです。特に、薬局やドラッグストア、病院などの薬剤師業界内で転職する場合は、新しい職場に元同僚の知人がいるケースも珍しくありません。

 

円満退職のためには、現職に迷惑をかけないよう業務の引き継ぎをすること、そのための期間を確保すること、誠意を込めてお礼を伝えることがポイントです。わだかまりを残さず古巣を飛び立ち、新天地で新たなスタートを切りましょう!

 

 

 

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